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ハンガー
Date:2015/02/12(Thu)
昨年のアカデミー作品賞を獲得した「それでも夜は明ける」のスティーブ・マックイーン監督の作品を見直してみたいと思い、彼の長編映画第一作である「ハンガー」をDVDで観ました。スティーブ・マックイーンという名前は我々世代にとってはテレビドラマシリーズ拳銃無宿の主人公であり大脱走やゲッタウェーの主演俳優が先ず頭に浮かんでくるのですが、監督のスティーブ・マックイーンは英国籍の黒人です。彼の短編芸術作品では才能を大いに認められていたとのことですが、私が知るに至ったのはアカデミー賞で話題になってからです。
「ハンガー」はカンヌ国際映画祭でカメラドール(新人監督賞)を受賞した長編デビュー作です。1981年、北アイルランドのメイズ刑務所に、イギリスのサッチャー政権に弾圧され、政治犯としての権利を奪われたIRA(アイルランド共和軍)のボビー・サンズらが一般の犯罪人(囚人)として収監されていた。自らの信念を貫くためサンズと仲間たちは抵抗を繰り返すが、看守たちの暴力によって制圧され、何も状況は変わらない。サンズは最後の抗議手段としてハンガー・ストライキの実行を決意する。セリフ無しの映像だけで状況や背景などを訴えるとともに中ほどでは22分にもなる長回しのシーンで神父と主人公の二人だけによるセリフのやり取りを入れるなど意欲的な構成。主演のマイケル・ファスヴェンダーは減量により絶食状態のボビーを好演。途中に声だけ入ってくるサッチャーのセリフが印象的です。
政治的なメッセージは敢えて入れずに、事実を淡々と描き、映像の妙をいろいろなところに配置した芸術作品です。それでも、この映画はいま中東で起きているISISといかに対峙していくかに示唆を与えているのではないかと思います。
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